前々号にて、2018年の個人修正申告書(Form 1040X)上にて962 electionを行った際に以下の文言を添えたとお伝えした。
The taxpayers, per guidance under part X of the Summary of Comments and Explanation of Revisions section of T.D. 9901, are making a section 962 election on this amended return for the 2018 tax year. By making such election, the taxpayers determine tax on amounts included in their gross income under IRC Sec 951(a) at the corporate rate of 21%. Further, the taxpayers have the benefit of the foreign tax credit for certain foreign taxes paid with respect to the earnings and profits attributable to such amounts.
これはT.D. 9901が発表される以前においては、Original returnにてSubpart F Incomeの申告漏れがあった場合を除き(=Original returnにて申告しなかったSubpart F Incomeを修正申告書にて初めて申告する場合を除き)、修正申告書にて962 electionを行う事が不可能であった故。従来許されていなかった962 electionが何故可能なのか、そのベーシスを明らかにする為であった。従来のルールについては、最近発表されたT.D. 9959 VI. B.においても言及されているので、参照されたい。
上記新ルールと対照的な扱いなのは、Original return上でFTCをCash basisにて勘定した者が修正申告書上でAccrual basisでもって勘定試みるケースだ。日本の税務調査で追徴受けた者が課税年度に遡って連邦申告書上で外税控除を取りたいと修正申告を出しても、過去に一旦Cash basisにて勘定したFTCをAccrual basisにて再勘定する事は出来ない。その為、日本の税務調査で多額の国税、住民税の追徴受けた場合、外税と外国所得の間に思わぬミスマッチが発生する。高額所得者が日本で居住者認定受けた場合、「米国から取り返せばいい」という筋書きに収まらないのだ。そうした惨劇を避ける為、高額所得者のFTCはAccrual basisにて勘定する。本件、行政レベルの指針としてCCA201016062が存在したが、上述のT.D. 9959 VI. B.にても、IRSの方針が確認出来る。
筆者の紹介 ― 河村好司(kawamura@reiwa-us.com)。Reiwa Accounting にて移転価格やクロスボーダー事業、取引に関する税務コンサルティングを行う。税務調査、不服申し立て立ち合いの経験も豊富。今後も、実務にて得た経験をベースに寄稿予定。