Category

監査

監査

新リース基準 - 第八回 総合設例

今回は今までの解説を踏まえた設例を見てみます。以下のようなoperating leaseのlesseeだったとします。 【設例】 ・5年の不動産リース。Operating leaseと判定された。 ・リース開始日(Commencement date)は1/1/20X1である。 ・賃料の支払いは、年払い。commencement dayに$5,000、その後は、翌年の家賃を前年末までに支払い、2年目は、$10,000、3年目は、$20,000、4年目は$30,000、5年目は$40,000となっている。 ・なお、この賃料にはCAM(common area maintenance)相当部門が含まれ、家賃とCAMのstandalone priceの比率は、9:1である。 ・さらにlesseeは、契約成立時に$1,000をbrokerに支払っている。 ・割引率に関してimplicit…
tueda
June 28th, 2022
監査

新リース基準 - 第六回 非リース要素(nonlease component)

今回は、lesseeの視点からリースの契約に含まれる非リース要素(nonlease component)を見ていきます。いままで、リース契約は、物の貸借をするだけの契約という前提で議論をしてきました。実はリース契約に物を貸借する権利義務を定めた要素以外に、貸借物に関する保守管理、不動産の共用部分の管理維持、税金の負担などの事項がlessorとlesseeの間で取り決められていることが多くあります。新リース会計では、これらの事項をlease component(リース要素)、nonlease component (非リース要素)、 noncomponent(非要素)と区別して扱っています。Lease componentだけを含む「リース契約」と混乱を避けるため複数のcomponent 、noncomponentを含む契約をリースの取決(arrangement)として説明していきます。 リースの取決の要素 Lease component (リース要素) リースに関する取決のうちリース対象資産を利用する権利を付与する部分です。 Nonlease component (非リース要素)…
Masahiro Kusunoki
June 10th, 2022
監査

新リース基準 - 第五回 リース支払額(Lease Payment)

今回は、lesseeの視点からリースに関して支払われる金額の扱いを見ていきます。今までの説明では、月々の使用料支払額だけを対象に資産化等を議論してきましたが、リースに関する支払いは、他にもいろいろ発生します。ASC 842においてそれらがどのような扱いになっているか判断して、Lease Paymentの金額を確定していきます。 Lease Payment このLease PaymentはASC 842では、重要な概念でLease Paymentの現在価値でリースの区分(finance lease or operating lease)を判断したり(第一回参照)、lease liabilitiesやROU assetとして資産化される金額の算出基礎になります。Lease…
Masahiro Kusunoki
May 15th, 2022
監査

新リース基準 - 第四回 割引率

今回は、リース債務を計算する際の割引率について解説します。リース債務は、リース全期間の支払総額等(Lease Payment-次回解説予定)を現在価値(Present Value – PV)に引き直して求められますが、そのために必要になるのが割引率です。 割引率の種類 新しいリース基準ASC 842には以下の2つの割引率が提示されています。 Implicit rate (黙示的な割引率) Incremental borrowing rate (追加借入の金利) 簡略化してありますが、それぞれ以下のように説明できます。…
tueda
May 2nd, 2022
監査

新リース基準 - 第三回 経過措置

今回は、2022年に新リース基準を適用したときの経過措置を見ていきたいと思います。会計基準の変更なので、retrospectiveな遡及適用が原則です。但し、遡及適用は煩雑なので以下のような2つのtransition methodが設けられています。 ASC 842-10-65-1 Retrospectively to each prior reporting period presented in the financial statements…
Masahiro Kusunoki
August 15th, 2021
監査

新リース基準 - 第二回 オペレーティング・リースとROU Asset

新リース基準(ASC 842)での大きな変更点は、lessee側のオペレーティング・リースの扱いです。旧基準(ASC 840)ではコミットメントとしてリース債務がfootnoteで開示されていただけですが、Right of Use Asset(ROU asset)という概念を新設してオンバランス化されることになりました。ROU assetは、an asset that represents a lessee’s right to…
Masahiro Kusunoki
July 25th, 2021
監査

新リース基準 - 第一回 リースの種類

新リース基準(ASC 842)の適用時期が近付いてきました。暦年の非公開企業は、2022年末から適用なのですが、期末に財務諸表を作る際に期首に適用を開始した形にする必要があります。今後しばらくリースの論点を取り上げていきます。 概要 まず、リースについては、新収益認識基準でおなじみとなったcontrol概念を使って、 contract that conveys the right to control the use of an…
Masahiro Kusunoki
July 11th, 2021
監査

固定資産売却損益は、損益計算書のどこへ

これは一見簡単そうだが、日米の違いが大きく結構問題になる。 日本の扱い 日本では、企業会計原則が以下のように定めている。 第2-6 特別損益 「特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する。」 なお、注解12では、特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができると定めている。 アメリカの扱い 一方、USGAAPだが、これはASC (Accounting Standards Codification)360-10-45の固定資産の条項で示されている。 360 Property, Plant, and…
Masahiro Kusunoki
June 25th, 2021
監査

新収益認識基準及びリース基準適用の一年延期について

FASBは、コロナウィルス・パンデミックに対応して2020年6月3日にASU No.2020-05を発行し、新収益認識基準(ASC 606)と新リース基準(ASC 842)適用の一年延期を決めました。適用になるのは、非公開企業、非営利企業になります。 新収益認識基準に関しては、2019年12月15日後に始まる事業年度まで適用が延期できます。なお、2020年6月3日現在において適用していない会社が対象になります。このため多くの12月決算の会社は2019年12月期に既に適応済みということになり影響を受けません。 新リース基準に関しては、2020年12月15日後に始まる事業年度から、2021年12月15日後に始まる事業年度に延期されました。 両基準とも任意の早期適用は依然として認められています。
Masahiro Kusunoki
June 6th, 2020